◇平成19年9月9日 青葉区国見ヶ丘5丁目町内会
◇演題:「元気で長生き―運動器のこと知っていますかー」
◇講師:佐々木整形外科麻酔科クリニック 佐々木信之
運動器とは動物の器官の分類の一つで身体を構成し、支え、身体運動を可能にする器管のことで、言い換えれば骨、関節、筋肉、靱帯・腱、神経の総称です。運動器は動く生物の原動力であり人の原点ともいえる。人間は、立って歩いて行動することでさまざまな道具を開発し、文明は進化してきた。これまで人々の主な関心は生命を長らえることであった。医学・医療は命を長らえることに力を注いできたので長寿社会となることができた。日本の平均寿命は男性が78.5歳 (第4位)、女性が85.5歳( 第1位)である。
実際に長寿社会となると、人はどのように生きるかが大きな関心事となってきた。生活・人生の質(QOL)の向上を目指し自立と尊厳の保持には、自発的な身体活動が重要な要素であり、心身共に自立した状態で生存できる期間である健康寿命は、日本で平均 73.6歳 (第1位 )である。
一方、2004年の国民生活基礎調査によると頻度の高い自覚症状は、男性で1位が腰痛、2位が肩こり 、女性で1位が肩こり、2位が腰痛、3位が手足の関節痛であり全て運動器障害の症状である。また、要介護となる原因についてみると1位が脳卒中、2位が老衰、3位が認知症、4位が転倒・骨折、5位が関節症であり、やはり運動器障害が大きな要因となっていることが分かる。
そこで、各運動器の役割と加齢による運動器への影響について解説した。高齢化によりバランス能力、移動歩行能力が低下し閉じこもりや転倒リスクが高まった状態を運動器不安定症と定義され、その判定には開眼片脚起立時間(15秒未満)、3m Timed up & go test(11秒以上)で行っているので、実際に参加者全員について測定した。開眼片脚起立時間については、転倒予防のための基準値(65〜69歳・40秒、70〜74歳・30秒、75〜79歳・20秒、80〜84歳・10秒 )が設定されているので、これを目標にフラミンゴ療法(開眼片脚起立60秒を左右1回ずつ、1日2回)を指導した。
健康寿命を延ばす方法には、大病や事故を予防する、老化のスピードを遅らせる、そして心身機能を改善するという3つの方法がある。元気で長生きのためには、そのそれぞれについて転倒・骨折のリスク要因や予防のための方策を行うことが大切であることを強調した。
講演の時の資料はこちらから → 元気で長生き
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